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”海に降る雪”について
雪は絶え間なく降り続け 絶え間なく消え続ける いく千万 いく億 いく兆もの 雪の結晶が 音もなく消え続ける ”大いなる消費” **************** 「消え去り続ける言葉」を テーマに言葉を綴ります 本サイトはこちらです。 自称ダンディ文豪(自称)の戯(ざれ)言 お気楽お楽しみなんでもあり。 皆さんへのコメント、訪問は こちらのe_vansが伺います。 以前の記事
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2017年 10月 27日
ある日のこと 電車の中で車内の様子を何気なく見ていたら、斜め前方の席に高校生くらいの男女が座っていた。二人とも見るからに「高校生とはこうあるべき」的な、華美ではなく清潔感が漂う初めてのデートと言った感じの服装だった。とは言っても、あくまでそう僕が見てるだけの話であって、二人がはたして高校生なのか、初めてのデートなのか聞いたわけではないので分からない。知りようもない。ただ、なんとなく好感が持てる二人だったという事だけわかって欲しい。 車内はそれほど混んではいないが、座席はほぼ埋まっていた。 電車が駅に着くと、数人が席を立ち、ほぼ同数の乗客が静かに列車に乗り込んできた。二人の座席の前に、やや年かさに思える男性が立った。座席は既に埋まり、男性は吊皮を掴んだ。 ちょっとの逡巡。 やがて男の子が席を立ち、目前の男性に席を譲ろうとした。その仕草もどこか初々しい。 だが男性は優しく手を振り、何と言ったのかまでは聞きとれなかったが席を譲られる事を拒否した。男の子はやや迷った後、静かに席に腰を下ろした。 少し照れくさかったのか、高揚した頬。 僕は心の中で彼に声をかける。 よくやった!グッジョブ!と。 僕は心の中で彼の肩をたたく。 僕はこんな風に考えてるんだよ、と。 君はこれからもしかすると、たくさんの人に席を譲るかもしれない。そして、たくさんの人に断られるかもしれない。でも、そんな事気にすることはない。 知らない人に優しく接するのは、実は勇気が必要なんだ。 何も悪者を叩きのめす事ばかりが勇気じゃない。人に親切にする事も、それを見なかったことにしようとする自分に打ち勝つ、ひとつの「勇気」なんだ。どんなにちっちゃくたって、それは立派な「勇気」だ。そしてその勇気は、はじめから誰しも人に備わってるものじゃない。勇気を持つには、トレーニングが必要なんだ。たくさん実践して、たくさん断られて、そしてようやくようやく、本当に必要な時に発揮できるようになる。それはいつか、「善いこと」ですらなく、「当たり前のこと」に変わる。だから、断られたって気にすることはない。恥ずる必要もない。どんどん譲って、どんどん断られるといい。それは「勇気のトレーニング」なのだから。 僕は心の底から君に喝采を送るよ。 それに、何よりも見てごらん。 少し照れている君を見つめる彼女の、誇らしげな感動と憧れに満ちた目を。 それが見れただけで 充分じゃないか、と。 彼女の視線に気づいたのか、彼は彼女に向かい微笑んだ。 彼女もまた、眩しいまでの笑顔でそれに答えた。
by bungo_eva
| 2017-10-27 23:03
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